アコモデーションするとはどういうことか?
アコモデーションとはlive with different individual world views(違った個人がもつ世界観の同居)と定義されますが、これは一つの条件があります。つまり異なった世界観が一致することはほぼ不可能ですが、それぞれの世界観が同居することは現実世界に起こり得ます。
例えば現に夫婦は育った環境も違い性格も違い、もちろん性差があるわけですが、それでも同じ家に同居しているわけです。それは何故かといえば、モノレベルの世界観は異なっていてもコトレベルの思い、例えば「楽しい家庭をつくるコト」というような思い(アクチュアリティ)は共有しているわけです。つまりアコモデーションとは、コンセンサスが世界観のモノ的一致を目指すのに対してアクチュアリティとしての思いの共有をベースにしているのです。
SSMで扱う“思い”や“実感”とは何でしょうか。
アコモデーションでは、思いの共有を目指すわけですが、これが思い込み、思い過ごし、思い違い、思い付きであってはならないわけで、そこに思いの共有のための議論のガイドラインがあります。
どういう議論をしたら、本当の思いが共有できるのでしょうか?それがコトに関する議論なのです。問題が何なのか(What is the problem?)を議論することは、その問題をモノとして科学的、一義的に定義することにあります。
SSMの議論は、このようなモノ的で論理的な議論はしません。まず参加者の思いを<思い-出し>それをワークショップの場で相互に語ることにより、その語る/聞くという行為に触発された思いを共有するようにします。
例えば、ある課の夜の飲み会でその日にあったことを語り合っているとき、最初のうちはそれぞれの見方・考え方の違いによってなかなかアコモというわけにはいかないでしょう。2~3時間経って宴もたけなわになってそれぞれの思いも出尽くしたとき、ある人の、「それってこういうコトだったんじゃないの?」という一言で、場の全員が腑に落ちることがあります。「そうだ、それって色々見方・考え方があるだろうけど、そういうコトだったんだ」という思いが共有されたとき、そこには論理的な整合性や客観的な正否を越えて実感として納得できる「本物としての実感(appreciation)」が感じられるのです。
SSMではこのアコモデーションを通じて行為に関する構え/自覚/覚悟をマネジメントしていきます。日ごろからPDS(=PDCA)に対する異和感やモノ的に単純化した物足りなさを感じている実務家やマネジメントの方々には、ぜひ一度SSMのコト的マネジメントのエッセンスを知っていただき、自分の生活や仕事の中での可能性を探って頂ければ生き方に対して新しい地平が拓けてくると確信しております。